健診で【尿酸値が高い】と言われたら
健康診断で「尿酸値が高い」と言われたら
健康診断で「尿酸値が高い」と言われたことはありませんか?
じつは尿酸値が高くても、直ぐに痛風発作を起こすことはありません。
しかし、注意してください。
症状がなくて健康だと思い込んでいたとしても、きちんと診断をうけると高尿酸血症という病気であることがわかって治療が必要になる場合もあります。
一度は医療機関を受診して相談することをお勧めします。
そもそも、尿酸値とは?
そもそも尿酸とは何でしょうか?
尿酸とはプリン体という物質が分解された後に残る代謝産物(燃えかす)です。
プリン体ときいて、つい食べる方のプリンを思い出したりしませんか?
しかし、食べるプリンはプディング (pudding)が形を変えたもの、ここで言うプリン体はPURINE bodyという化学構造式の名称(図参照)なので全くの別物です。
ではプリン体という物質はどこにあるのでしょう。尿酸が高いとプリン体の入った食べ物を控えましょうと言われることが多いのですがじつは8割以上は常に体内で作られています。
私たちの細胞には遺伝情報を伝える核酸という物質があり、核酸の成分もプリン体です。だから古くなった細胞を分解する途中でこの核酸からプリン体が出てきます。プリン体は細胞の中にあるものですから,動物・植物いずれの食品からも体内に入ります。それらが肝臓で分解されて尿酸となるのです。
ですので細胞を含む食べ物の過剰な摂取はビールにかぎらず、尿酸を増やしてしまうきっかけになります。アルコールには細胞が含まれていないのでプリン体こそふやしませんが、尿酸値をあげてしまう働きがあるので、控えるようにといわれます。
ではこの尿酸がどこまであがったら病気なのか?
正式病名は高尿酸血症といいます。
尿酸の正常値を皆さんがおぼえる必要はないのですが、感覚を私たちとも共有してほしいので1つの考え方を提案します。
まず、尿酸値検査結果の数字に、30を足してみてください。それを体温計を見たときのようにうけとめてほしいのです。
たとえば
7.5mg/dlという検査結果なら、30を加えて37.5ですね。
あれ、おかしいぞ、という感じしませんか?
8.0mg/dlという検査結果なら、30を加えて38.0度です。
ああ、これはまずい、と思うひともいるでしょう。
病気の定義は体温計よりはちょっと厳しくて性別、年齢をとわず7.0mg/dl以上ですと高尿酸血症という病名がつくことになっています。
尿酸値が高い状態(高尿酸血症)の何がいけないの?
尿酸値が高い状態が悪い理由。それはまず、第一にあの痛くてたまらない痛風発作をおこすことにあります。
この点については、血清尿酸値を4.6~6.6mg/dLにコントロールした時が最も発症率が低いというデータがあるので、やはりさげておくに越したことはないのです。
痛風発作だけなら痛み止めでいいんじゃない、と思っているそこのあなた。
尿酸は沈着して腎臓に障害 (痛風腎)を起こすこともあります。さらに尿路結石を発症、進展させてしまうこともあります。これも地獄の痛みを伴う病気です。
それだけではありません。高尿酸血症・痛風には高脂血症、高血圧、 耐糖能異常、 肥満などの生活習慣病がかなり一緒に発病していることが知られてます。
こうした合併症が動脈硬化をひきおこし、その結果、突然死につながる虚血性心疾患や、いきなり寝たきりになってしまうような脳血管障害の発症率を高くしているのです。
だから、尿酸値のコントロールをすることは、 合併症に対する治療にもつながるのです。
痛風発作が起こっていなければ大丈夫?
オレ、尿酸値は高いんだけど、いちども通風発作はおこしたことがないんだよ~という人がいます。
痛風発作を起こしていなくても、腎臓に障害はじりじりとつもっていくでしょう。
尿酸値が大事というよりも、尿酸値があがらない生活習慣が大切なのです。
尿酸値が正常化するような生活習慣を改善したり、必要に応じて薬を飲むことで、合併症を予防する習慣を私たちはおすすめしています。
高尿酸血症が疑われた際に実施する検査について
高尿酸血症主訴で来院された際には、尿酸値だけでなく動脈硬化に関係する項目を評価する必要があります。
問診で生活の状態を把握したいので、例をあげますと
- 発作は何回目なのか
- どの場所が痛むのか
- 食事、間食の現状はどうか
- アルコール摂取量 週に何回、何をどのくらい飲むのlか
- 高尿酸血症の家族歴はどうか
- 高血圧薬(サイアザイド系)のせいで尿酸あがってないか?
- 睡眠時間はどれくらい
- 仕事内容はどうか
- 運動しているか しているとしたら何を どれくらいの時間
こういった質問をさせていただいております。
採血では尿酸だけでなく、合併症でおこりやすいコレステロールの値、血糖値、肝機能(AST ALT gGTP)、腎機能検査もおこなっています。
費用についてですが、br 3割負担の保険証をおもちの方が初めての受診の場合、採血検査を含めてだいたい2500円前後の費用を想定していただけたらと思います。(土日祝日や時間帯、また病状によって必要な検査が変わる可能性もご了承下さい)
尿酸値が高い原因を知り、生活習慣を改善させましょう
ユアクリニックではただ尿酸を下げるだけではなく生活習慣そのものを改善していただくお手伝いをしています。そのため、尿酸が引き起こす合併症(痛風発作、痛風腎、尿管結石)についても十分注意をはらい、動脈硬化の予防に努めます。
私たちのゴールは、病気の診断と治療ではなく、みなさんのライフスタイルを改善し、思い通りの人生をすごすための体作りにあります。病気の診断と治療はその手段にすぎません。
患者さんのライフスタイルは人それぞれです。そのひとその人にあった生活習慣の改善とサポートをさせていただきたいと思っています。